梅の実3

お局様のことを話した友人の意見は、今後も
同様のことがある度、上司に言え、というもの。

なるほど。
しかし、逐一、報告するのも告げ口をしているようで嫌だなと思った。
改善しようと思えば、上司を使うのも一つの手だという。

それで、改善されていたら今こう言ってませんがな。

お局様は、仕事をしない。
予約が入ればそれを受けるだけの仕事のみ。
会社としてはもっと業績を上げてもらいたいので
キャンペーンを立ち上げろだの、チラシやポスターをつくって
アピールしろといってくる。

ですが、動かない。
それはそれで、すげー偉大な動かなさである。

体調が不良だとか、作る時間がないだとかでうやむやにしてきた。
当然、上司である院長、社長、取締役たちの評価は低い。


上司には媚びへつらうが
自分より下だとお局様が認定した人にはめっちゃ上から言う。
私もかつてそういう扱いを受けてきた。

いつしか、私がお局さまからの不本意な言動をされて
鬼の形相をするようになってからは、だんだん、それはなくなってきたものの
やはり、お局様の嗜好は下々だと思っている者に
偉そうにして悦を得るというもののようだ。
下々の者は敏感に察し、かなり距離を置いているが。



5月の半ばだったと思う。
お局様が、13時の出勤時間前になっても来ない。
電車が遅延の場合は、必ず連絡を入れるはずだが、それもない。

ぎりぎりにやってきて、すっとスタッフルームに入った。
受付で下を向いて事務作業をしていた私は声だけで挨拶だけをした。

すると間もなく、13時予約のお局様のお客さんがきた。
なのに、出てこない。
スタッフルームでなんだかぼそぼそ話している。
それをなんとなく聞いていた私は、なんとなくお局様が体調不良により
今日は仕事ができないことを察した。

そのお客様には、他のスタッフが理由を説明し、お断りさせていただいた。
治療所内に患者さんが数名、電気治療を受けている最中だったが
スタッフルームに院長を始め、皆、行ってしまったので
私は治療所にいたから、事情がよくわからない。

数分後、救急隊が到着、お局様は救急搬送された。
不正出血が尋常じゃない量だったらしい。

後日、聞いた話では、数年前に2、3センチだった子宮筋腫が
今回、再検査すると6センチ大になっていたということで
手術することになったということだった。

それを聞いて、昔、PANDORAの記事で思考が悪いと腹が悪くなるだったか
そんな記事を読んだような記憶があったことを思い出した。

ああ、そういうことかもしれないな。と、納得した。

そして、今月の末日に手術となり、その前日から入院のため
休暇を取るとのことだった。

その日は、最後まで残ってレジ閉めをする人がいない。

レジを締める時間は、最終受付20時30分の患者さんが
会計を済ました後になり、他のスタッフは片付けと清掃する。
完了して、退勤時間は23時を回ることは常である。

私は、交通機関の関係上、22時までしかいられない。
それ以後は、電車は動いているが
地元駅からは30分以上かけて、しかも坂道を延々歩いての帰宅となる。
老体にはきついんだな。

今までは、お局様に後を頼んで、ありがたいことに先に帰らせていただいた。
なので、お局様が休暇中は私が代わりを務めようと思っていた。
なんとでも帰ろうと思ったら帰れるし。



レジ締めができる者は、私を含めSさん、Kさんと3人いるが
お局様が前日入院する日はSさんが遅番で、私は早番。
Sさんは門限があるとのことで、22時には退勤する。
あとは、いつもお局様に任していた。
そこは私と一緒。
違うのは、私は仕事の日は、門限はないってこと。

となると、遅番が可能で最後まで残れて、レジ締めできるのは私に回ってくる。
連日、遅番が続くがそんな事情があるなら協力しようと思い
念のため、Sさんと交代で勤務することを確認のため、尋ねた。

「そうするとその日は、レジ締めをする人がいなくなるので
私が遅番ででてくることになりますよね?」

「そうなりますねぇ~」と、クスクス笑っていたお局様。


は??
笑うとこなん?

自分のことなのに、まるで他人事。
あなたが手術で人手がなくなって、職場として困るだろうから
協力をしようと思っていたのに、その口ぶりに驚いた。

この人は、当たり前だと思っているのかもしれない。
手術という理由があるのだから、周りは協力して当然と。
だから、頭を下げる必要なんて微塵も感じていないのかもしれない。

「ごめんね。
私事で迷惑かけるけど、後をよろしくね」
今までにこんなことが言えていたら、未来は変わっていたかもしれない。



院長や社員さんから聞いた話だが、社長が直接、お局様に
「術後は身体も仕事に慣れないから、少しずつ仕事して慣らしていこう。
ということで社員じゃなくて、時間給でいこう」
と言っていたらしいと聞いた。

社長や取締役の本心は、社員なら自分の給料分くらい稼げというモットーに
お局様はさんざん応えず、反するので、社員じゃなくて良いという判断らしい。

7年間、お局様と仕事をしてきたけど、原因は自分にあり結果も導くものであり・・・。
そんなことを考えさせられたと思った。


梅の実の香りは、桃のような甘酸っぱい良い香りで心満たしてくれる。
逆に、不快な香りは心を刺々しくさせる。

自分は果たしてどちらの香りを放てるか、そんなことも思った。



スポンサーサイト

Comment

Post Comment

非公開コメント

Latest posts